糖尿病とは

糖尿病は、体がブドウ糖を効率よく利用する上ですい臓から分泌され、重要な役割を果たすホルモン「インスリン」が不足したり、その作用の低下が原因で引き起こされます。
糖尿病に罹患すると血糖値の上昇を抑える働きが低下してしまうため、高血糖の状態が慢性的に続きます。
高血糖の状態が長い間続きますと、全身の血管や神経が徐々にダメージを受けて、最終的には様々な恐ろしい合併症を引き起こします。
糖尿病には3大合併症があり、具体的には後述しますが、

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病腎臓症
  • 糖尿病神経障害

があります。

糖尿病の種類

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病はインスリンを分泌するすい臓の細胞(β細胞といいます)が、壊されてしまう病気で、そのためインスリンが出なくなることが多く、その治療にはインスリン製剤を投与することが必要になります。
全世界では糖尿病全体の概ね5%が1型糖尿病の患者さんです。
特に若い患者さんを中心に幅広い年齢で発症しております。
一方、普段の食生活や運動などの生活習慣が関わる2型糖尿病はインスリン非依存型と呼ばれ、遺伝的要因に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。
糖尿病の患者さんの多くは2型糖尿病であり、日本ではその疑いがある人は大人の2割弱、概ね2,000万人弱にのぼっています。

糖尿病の原因

ここでは上記の2型糖尿病の原因について説明します。
2型糖尿病の発症原因は以下の要素が組み合わさって起こります。

  • 40歳以上
  • 太りすぎの方(肥満体系)
  • 著しい運動不足
  • 喫煙
  • ご家族に糖尿病の患者さんがいる方 等

糖尿病の症状

糖尿病をはじめ生活習慣病の怖いところは、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多いということです。
また症状が現れるとしても、非常にゆっくり、少しずつ現れます。

糖尿病の症状

  • 疲れやすくなった
  • 肌が乾燥してかゆい
  • 手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある
  • 感染症によくかかる
  • 何度もおしっこをする
  • 目がかすむ
  • 勃起不全
  • 切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
  • 空腹感や喉の渇き 等

上記のような症状が現れたり、健康診断等で糖尿病の疑いがあると診断されたら、早急に専門医療機関を受診してください。

糖尿病の合併症

上述のように糖尿病が進行して血糖が高い状態が続くと、血管をはじめとする臓器に障害が現れます。
特に末梢神経や目の網膜または腎臓の細い血管に障害が起こることで、糖尿病の三大合併症と呼ばれる「糖尿病網膜症」「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」を発症します。

糖尿病により全身の細い血管に動脈硬化を生じます。
さらに糖尿病の治療をせずに放っておくと視力障害、場合により失明や腎不全(重度の場合、人工透析治療を要する)、足の壊死といった重篤な状態にまで進行するリスクがあります。
そこでここでは糖尿病の三大合併症についてご説明します。

糖尿病網膜症

目の網膜には毛細血管が張り巡らされています。
血糖値が高い状態が続くと、この毛細血管が詰まるなどして網膜へ十分な酸素や栄養分が供給できなくなり、糖尿病網膜症を引き起こします。
初期には自覚症状はほとんどなく、糖尿病の治療をしないでいると、概ね20年間で約7割の方に糖尿病網膜症が発症するといわれており、進行すると失明に至ることもあります。
そのため早期発見および治療が重要で、糖尿病と診断された場合は眼科での定期的な検査も重要となります。

糖尿病神経障害

2型糖尿病を罹患されている患者さんの約3割程度は、糖尿病の治療をせずに放置するとその発症から5~10年ほどで末梢神経に障害が起こり始めます。
重症化すると、足先や手に壊疽を起こしたり、勃起不全の原因ともなります。

糖尿病腎症

腎臓は尿を作る重要な臓器であり、毛細血管が密集しています。
血糖値の高い状態が続くと、次第にこの毛細血管が障害され、血液を浄化する機能に障害が発生し、糖尿病腎症を発症します。
糖尿病腎症が進行すると腎不全に至り、最終的に人工透析治療が必要になります。

上記のような3大合併症を引き起こさないためにも、糖尿病の症状がない、または乏しいからといって、糖尿病の加療を受けない、または中断するなどをされないようにお願いいたします。

当院の糖尿病の診断や治療

当内科の糖尿病の検査

当内科では糖尿病の検査数値(ヘモグロビンA1c等)について院内にて素早く検査結果をお知らせすることが可能です。
受診の都度、素早く糖尿病に関する検査結果が出ることで、その場で今後の診療方針を患者様と打ち合わせができます。
そのため糖尿病のコントロールもしやすくなります。

糖尿病の治療法

糖尿病の治療は主に3つあります。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

です。
ここでは3つの療法について説明していきます。

食事療法

糖尿病の最も効果的で大切な治療は食事療法といえます。
適切な量の食事で、必要とする栄養を摂取できるようにコントロールします。
特に食べてはいけない食材やメニューがあるわけではありませんが、外食や間食、アルコール摂取等は1日に摂取するエネルギー量がオーバーしやすいので、特に注意が必要です。
なお、食事療法の基本は下記になります。

  • 身長と普段の活動量に適したカロリー摂取
  • 必要な栄養素をバランス良く摂取
  • 塩分の摂り過ぎに注意する(食塩6g以下/日)
  • 間食を控える
  • 医師の指導の下、バランスの良い食生活を送ること

をお勧め致します。

運動療法

運動療法は食事療法と同じく糖尿病の基本となる治療法です。
適度な運動によってブドウ糖や脂肪酸の体内での利用を促進させ、血糖値の低下やインスリン抵抗性の改善を行うことができます。
但し、合併症がある場合や薬物治療をしている場合は運動が制限されることもありますので、運動の種類や時間・回数等については当内科にご相談ください。

薬物療法

糖尿病の薬物療法には、内服する血糖降下薬とインスリンの注射治療があります。
1型糖尿病の治療ではインスリン注射を行います。
2型糖尿病では上記の食事療法や運動療法で改善されない場合、血糖降下薬の内服や注射治療を行います。
特にインスリン注射は、不足している、もしくはうまく作用していないインスリンを補い、自分の膵臓を休める効果もあります。
そのためインスリン注射は決して糖尿病が悪化しているからといって行う治療法ではありません。

患者様ごとの糖尿病の状態や生活習慣、ライフスタイルに合わせて、オーダーメイドで糖尿病の治療を行っていきます。