帯状疱疹ワクチン

  • 2020.09.11

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)が原因で起こります。ウイルスは子供の頃に水痘(水疱瘡)を起こした後も潜伏し、疲れやストレスなどの影響で体の免疫力が下がった時に帯状疱疹として再燃します。日本人成人の90%以上でウイルスが潜伏しており、80歳までにおよそ3人に1人が帯状疱疹になると言われています。

帯状疱疹の症状は、胸部・腹部・背中・顔・頭部など体の左右どちらかにピリピリとした痛みと、赤身のあるブツブツとした発疹と水膨れが帯状に出ます。痛みは、夜眠れないほどになることもあります。50歳以上では2割程度で、皮膚症状が治った後も痛みが長く続く帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)になると言われます。頭部から顔面で発症した場合、めまいや耳鳴りの他、重たい場合視力低下や失明、顔面神経麻痺などの後遺症が残る危険性もあります。

50歳以上の方には帯状疱疹の予防接種(任意)があります。これまでは水疱瘡の予防にも使われている水痘ワクチンのみでした。水痘ワクチンは、1回接種、当院では7000円(税別)になります。帯状疱疹の発症率が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発症率が66.5%減少、5年程度効果が持続するとされています。生ワクチン(弱毒化ワクチン)のため、免疫異常のある方、ステロイドや免疫抑制剤を使用している方、またカナマイシン・エリスロマイシンにアレルギーのある方には接種できません。また他のワクチンを接種する場合は27日以上空ける必要があります。

2020年1月に発売されたシングリックスは、2ヶ月間隔で2回接種(2回目は遅くとも6ヶ月後まで)、1回あたり20000円(税別)になります。シングリックスでは帯状疱疹の発症が、50歳以上の方で約97%減少、70歳以上の方で約90%減少、帯状疱疹後神経痛の発症率も50歳以上で100%減少、70歳以上で約85%減少したとされ、効果は生涯続く(追加不要)とされています。シングリックスは不活化ワクチンのため、6日以上あければ他のワクチンを接種することができ、免疫抑制をきたす治療を受けている方などでも接種が可能です。シングリックスを注射すると、多くの方に注射部位の痛みや腫れがあらわれますが、副反応の多くは3日以内に治まります。

いずれのワクチンも帯状疱疹予防効果が示されており、帯状疱疹後神経痛の発症を減らす効果も期待できます。帯状疱疹に対する予防接種をご希望の際は、お気軽にお問い合わせ下さい。

50歳以上における帯状疱疹の発症
70歳以上における帯状疱疹の発症
50歳以上における帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症
70歳以上における帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症
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